重松清『流星ワゴン』

流星ワゴン (講談社文庫)

流星ワゴン (講談社文庫)

これだけの厚さの本を一気に読んでしまったのだから、面白かったか面白くなかったかで言えばきっと前者なのだろうけれど、どうも腑に落ちない。

よくわからないのだけれど、38歳になって自分の家庭が崩壊しかけ、当の父親が死にかけなければ、父親との関係性というのは切実に捉えなおせないものだろうか? そういうのは大学生とか高校生くらいの年に済ませておくべきものなのではないのだろうか。
運命の分岐点を巡る反実仮想はすごく切なくて身につまされるのに、それと比べて父親像の捉え直しの部分はすごく幼いように感じてしまった。もしかすると、自分が家庭を持ち、父親になれば印象も変わってくるのかもしれないけど、自分が昔感じた以上に深い描写は無くて残念だった。

重松さんの文章はすごく映像的で、映画化すると面白い作品になるのではないか、とちょっと思った。