山形浩生さんの新連載

ビジスタというメルマガで始まった。山形さんによるビジネス書の書評って、SIGHTの連載が趣旨換えして、bk1の連載もいつの間にか終わってしまって、朝日新聞の書評委員も辞められてしまって、まとまったモノを読める場がなくなってしまっていたのですごく嬉しい。
でもこの書評を読んでSIGHTの創刊号のことを思い出さざるをえなかった。もうここ何年もまともに読んではいないけど、最初の二年ぐらいは毎号驚きの連続だった。山形さんだって、宮台真司さんだって、稲葉振一郎さんだって、小野善康さんだって、当時のぼくはせいぜい名前を知っているくらいで、本格的な文章を読んだのはあの雑誌が初めてだった。毎号何が出てくるか分からないドキドキがあったし、それは単に新しいものというだけでなく、一本知性の筋が通っていたように思う。それが、山形さんの連載のスタイルの変化が象徴的だったけど、雑誌全体が中途半端に時流におもねるというか、どんどんと嫌らしく洗練されて言ってしまったような気がする(山形さんの連載はどれも面白かったけど、一番パンチがあったのは最初期の十冊くらいまとめて書評するスタイルだった。少なくとも個人的には。)。
渋谷陽一の本はだいたい読んでいるので、こういった批判というのは彼が雑誌を創刊するたびに繰り返されてきた類のものなのかもしれないけれど、雑誌としての青臭さ以上のもの、そして今のsightには失われている興奮が確実にあったように思うんだけどな。だってほらあれじゃん、年末の書評特集の本だってあんな構成だったら立ち読みでいいやって思っちゃうじゃん。