中村彰彦『海将伝』

海将伝 (角川文庫)

海将伝 (角川文庫)

これも物凄く面白かった。もしかしたら「小説としては」と留保をつけるべきなのかもしれないけど。
最近すっかり歴史づいている。今日は用事のついでに遊就館にも行ってしまった。何年か前に一度行ったことがあるんだけど、そのときは時間が無くてじっくり見られなかったんだよね。ただ展示物の量が半端無いので時間がたっぷりあっても途中でお腹一杯になりますた。まあこういう場所に行ったからといって特定の思想(史観)に共鳴しているわけではないですけども。心理学者がネズミじゃないように。

10代の頃に出会った歴史好きの人にはどこかしら偏った人が多かった。だから歴史については、深入りするのを避けていた部分があった。そんな僕が考えを修正するきっかけになったのは江川達也さん(とクルーグマン)だった。
その日露戦争物語はじっくりと腰を据えた丹念な描写なのでなかなか先に進まない。その先の展開を文章で知ってしまったら漫画を読む楽しみが大きく損なわれてしまうのではないか、と危惧していたのだけど、全然そんなこと無いですね。史実を知っていても、というかむしろ知っていた方が楽しめる。それだけの工夫はしてある。
変にはしょらず、江川さんのライフワークというか描きたいように描きたいだけ続けて欲しいな、と思う。