岩波明『狂気の偽装』

狂気の偽装

狂気の偽装

すごく面白かった。タイトルは前著に引きずられてちょっと大げさだけど(というかこれだけだとどんな内容か分かり辛い)、内容はすごく誠実で真面目。
まず、流行り言葉化して適当に使われている精神医学用語の本来の意味がわかって、とても勉強になる(ゲ○ム脳とかもばっちり批判されてます)。新聞でもどこかから引き写してきた定義はいちおう載っているけど、あれだけじゃ何のことか分からないものね。
それに加えて、豊富な臨床の実例を読んでいるうちに、ぼくらの営んでいる社会を見る目が少しずつ変わっていく。この辺は「火星の人類学者」を読んだ時の感じと似ているかな。
図書館で借りたんだけど、未読の前著も含めてできれば手元に置いておきたい。