「空気人形」

空気人形@シネマライズ
http://www.kuuki-ningyo.com/index.html

以下ネタバレ気味の感想。

人生の空虚さなど予め織り込みのものであり,そのこと自体がモチーフとなることには,すこしベタな感じがした。それぞれが生き辛さを抱え,這いずるように毎日を生きている。そのような感覚は分かりきったものではないか。それでも何があれば人は生きていけるのか?むしろそのことを僕は知りたい。
とはいえ,この映画からはすごくいい匂いがする。嫌いな映画じゃない。薄い影とそれを気にするペ・ドゥナのエピソードなんかすごく好きだ。そして悲劇は影の濃さの違いを忘れてしまったことから起きたようにも思う。

対峙する河の“こちら側”と“向こう側”。それは一見すると「勝ち組-負け組」的な断絶を象徴するように見える。しかし,風はどちらにも同じように吹きすぎる。幸いの種子は河を越えて舞い降りるのだろうか。