セイント『透明人間の告白』

透明人間の告白

透明人間の告白

すごく面白かった。
訳者あとがきを読むと、「前半の描写がやや冗長」とくさされているんだけど、むしろそこがこの小説のいい所なんじゃないかと思う。透明人間的日常の地に足を着けるためにはちょっとくどい位に詳しい描写が必要というか、それがあるからこそ後半になっても物語のリアルさや面白さが失われないと思うのだ。スリリングさだけでなく、物語に深みが出てくるというかね。

もしもこの小説が現在のインターネット時代に書かれていたらどんな話になっていたんだろうと想像すると、この二十年近くの間に随分と世界は変わったんだなぁと改めて思う。

透明人間の告白〈上〉 (新潮文庫)

透明人間の告白〈上〉 (新潮文庫)

透明人間の告白〈下〉 (新潮文庫)

透明人間の告白〈下〉 (新潮文庫)