佐々木克『大久保利通』
- 作者: 佐々木克
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/11/11
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 39回
- この商品を含むブログ (22件) を見る
でも残念ながら、読んでいて目から鱗が落ちるという感じはあまりしなかった。新聞連載ということで、生き生きとした本音や逸話というよりも、形式的な誉め言葉や建前の部分が多くて、生臭い凄みのようなものはなかなか伝わってこない。だから、大久保利通についての理解が深まるというよりも、むしろ(大久保について語る)明治人の佇まいや意識の方に目が行ってしまう。それに、同時代に生き、本人と近しい生活を送った人間よりも、専門家の研究成果を読むことが出来る後世の人間の方が広い視野を持っている場面も多く、その意味でもちょっと視野の狭い内容のような気がする。